【BtoB向け】なぜあなたの営業は成果が出ないのか?明日から使える営業戦略の教科書

「毎日頑張っているのに、なぜか目標を達成できない」
「営業活動が属人化しており、チームとしてスケールしない」

BtoB営業の現場で、このような悩みを抱えている方は少なくないでしょう。その原因は、個々の営業担当者のスキル不足ではなく、チーム全体で一貫した「営業戦略」が不在であるケースがほとんどです。

本記事では、なぜBtoB営業に戦略が必要なのかという基本から、明日から実践できる具体的な戦略立案の5ステップまで、専門的な内容を分かりやすく解説します。

そもそも「営業戦略」とは?戦術との違い


まず、多くの人が混同しがちな「戦略」と「戦術」の違いを明確にしましょう。

戦略 (Strategy): 「何をすべきか」を決めること。 目的地(ゴール)を定め、そこにたどり着くための全体的な方針や計画を指します。いわば「航海図」です。
戦術 (Tactics): 「どうやって実行するか」を決めること。 戦略を達成するための具体的な手法や行動を指します。航海図に描かれたルートを進むための「船の漕ぎ方」と言えます。

例えば、「新規顧客からの売上を前年比150%にする」というのが戦略だとすれば、「IT業界向けのウェビナーを月2回開催する」「休眠顧客リストに週50件架電する」といった具体的なアクションが戦術になります。

戦術ばかりに目が行き、戦略が曖昧なままでは、どんなに優秀な船員(営業担当者)がいても、船は目的地にたどり着けません。

【5ステップで解説】成功に導くBtoB営業戦略の立て方

では、実際にどのように営業戦略を立てれば良いのでしょうか。ここでは、実践的な5つのステップに分けて解説します。

STEP 1: 現状分析と課題特定 (As-Is)

戦略立案の第一歩は、自分たちが今どこにいるのかを正確に把握することです。有名なフレームワークを活用して、客観的に自社を分析しましょう。

3C分析:
Customer (市場・顧客): 市場規模、成長性、顧客のニーズは?
Competitor (競合): 競合の強み・弱み、市場シェアは?
Company (自社): 自社の強み・弱み、リソースは?
SWOT分析:
Strength (強み): 自社の製品・サービスの優位性、ブランド力など。
Weakness (弱み): 価格競争力、人材不足など。
Opportunity (機会): 市場のトレンド、法改正、競合の撤退など。
Threat (脅威): 新規参入、代替品の登場、景気後退など。

この分析を通じて、「競合に比べて価格は高いが、サポート体制の充実が強みである」「特定の業界でニーズが高まっている」といった、自社の現在地と課題を明確にします。

STEP 2: 目標設定 (To-Be)

次に、具体的な目的地(ゴール)を設定します。ここで重要なのは、具体的で測定可能な目標を立てることです。

目標設定には「SMART」の法則を活用しましょう。

S (Specific): 具体的に(例: 売上高、新規契約数)
M (Measurable): 測定可能か(例: 1億円、50社)
A (Achievable): 達成可能か(現実的な目標か)
R (Relevant): 関連性があるか(会社のビジョンと一致しているか)
T (Time-bound): 期限があるか(例: 今年度末までに)

悪い例: 「売上を頑張って上げる」
良い例: 「2025年度第4四半期までに、主力製品Aの新規契約数を20社獲得し、売上5,000万円を達成する」

このように具体的な数値を伴う目標(KGI: 重要目標達成指標)を設定し、それを達成するための中間指標(KPI: 重要業績評価指標)として「商談化率」「受注率」などを設定します。

STEP 3: ターゲット顧客の再定義 (Who)

BtoB営業では、誰に売るかを明確にすることが成功の鍵です。自社にとって最も価値の高い顧客像、すなわちICP (Ideal Customer Profile / 理想の顧客像)を定義しましょう。

業種・業界: どの業界の企業か?
企業規模: 従業員数、売上規模は?
地域: どのエリアに所在しているか?
抱えている課題: どのような課題やニーズを持っているか?

過去の受注データなどを分析し、「IT業界」「従業員50〜300名」「DX化に課題を感じている」といったように、具体的なICPを定義することで、アプローチすべき企業が明確になり、営業活動の効率が飛躍的に向上します。

STEP 4: 具体的なアプローチ設計 (How to)

誰に何を売るかが決まったら、いよいよ「どのようにアプローチするか」という具体的なプロセスを設計します。ここでは、顧客の購買プロセスに合わせた営業活動の分業体制を構築することが有効です。

代表的なフレームワークが「THE MODEL(ザ・モデル)」です。

1. マーケティング: 見込み客(リード)を獲得する。
2. インサイドセールス: リードにアプローチし、関係性を構築して商談機会を創出する。
3. フィールドセールス(営業): 創出された商談に訪問・提案し、クロージング(受注)する。
4. カスタマーサクセス: 受注後の顧客をサポートし、継続利用やアップセル・クロスセルを促進する。

各部門が連携し、顧客情報をスムーズに引き継ぐことで、機会損失を防ぎ、顧客満足度を最大化することができます。

STEP 5: 実行・評価・改善 (PDCA)

戦略は立てて終わりではありません。実行し、その結果を評価し、改善を繰り返すPDCAサイクルを回すことが最も重要です。

Plan (計画): STEP1〜4で立てた戦略
Do (実行): 計画に基づき営業活動を実行
Check (評価): SFA(営業支援ツール)やCRM(顧客関係管理ツール)を活用し、KPIの進捗や活動データを分析
Act (改善): 評価結果に基づき、戦略や戦術を修正

週次や月次のミーティングでKPIの進捗を確認し、「なぜ商談化率が低いのか」「どのチャネルからのリードが最も受注につながっているのか」といった議論を通じて、常に戦略をアップデートしていきましょう。

まとめ:優れた営業戦略は、最強の「武器」になる

感覚や根性に頼った営業活動は、もはや通用しません。
市場を分析し、明確な目標を掲げ、ターゲットを定め、科学的なプロセスを設計・実行する。こうした一貫した「営業戦略」こそが、不確実な時代を勝ち抜くための最強の武器となります。

まずは自社の現状分析から始めてみませんか?この記事が、あなたのチームの営業活動を次のステージへ引き上げる一助となれば幸いです。

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